コラム

コラム 失敗しない海外人事戦略の作り方

                  

第八回 海外ビジネスの成功への人事の真のミッションは「自社の地力」を高めること

第七回 人事の役割は『信じさせることから、目覚めさせること』へ(「人の管理」より「期待の管理」)

第六回 方針・戦略は、「何をやらないか」を語ること(「やる気」より「戦略・仕事の理解」)

第五回 人事の着眼点は「過去・将来」から「現在」へ(「過去・将来軸」より「現在軸」)

第四回 「相手の文化に合わせること」の誤り(「人の管理」より「期待の管理」)

第三回 「全て自分で管理しようとすること」の誤り(「人間力」より「仕組化力」)

第二回 「能力、そして人を管理すること」の誤り(「人の管理」より「期待の管理」)

第一回 We are “The” Japanese companyの誤り(「異文化」より「自社文化」)


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コラム ~失敗しない海外人事戦略の作り方~

第八回 海外ビジネスの成功への人事の真のミッションは「自社の地力」を高めること


新しい年を迎え、はや一か月経ちました。年明けから海外でいくつか日系企業の現地法人で人事プロジェクトや研修のお手伝いをさせて頂きました。帰国後、ある企業から「グローバル人事って、何からやっていけばいいのか 教えてほしい」との依頼があり、お話してきました。そのとき感じたのは、「人事部が『いわゆる人事の仕事』をしている」ということでした。ただ、これはその企業に限ったことではありません。大手・中小問わず、多くの企業が直面している課題です。


失敗しない海外人事戦略の第八カ条 「海外ビジネスを成長させている企業は、『最先端の人事手法』に振り回されていない。くそ真剣に自社の『地力』をあげている」


「アメリカでは、年次評価を廃止している企業が増えているようだが、わが社もやるべきか」「ウチも、海外人材を含め、適材適所を実現するため、クラウドを使ってタレントマネジメント(タレマネ)の仕組みを導入したい」という話はこのところよく聞きます。 しかし、「なぜアメリカの一流企業が評価制度を変化させているのか、もしくはさせられているのか」「タレマネの仕組みを活かしきれている企業は何が違うのか」をしっかりと見つめ、自社の人事ミッションややるべきことを設定できているでしょうか。
 
海外、特にアジアで現地ビジネスを成長させている企業の現地人管理職の方々とやり取りを頻繁にする中で、強く感じることがあります。それは、多くの現地人管理職が自社の強みに、「製品の質」「ブランド」「技術力」といったよく聞かれる言葉に加えて、 「人材」「人材をつくる力」「組織風土」を挙げることが目立ってきたことです。海外展開を死にもの狂いでやっていた先人たちが培った努力の結果である製品や技術に頼りきりになるのではなく、「自分たちが自分の目線と能力を高めれば、必ず良い ビジネスができる」という気概を感じることが徐々に、しかし確実に増えてきました。

「人事の最先端を学ぶことに意味はない」とは言いません。確かに、私自身も学ぶことは多くありますし、それらが世に出てくる「理由」を知ることは非常に有意義です。しかし、貴社で来期から年次評価を無くして、社員を方向づけ、 動機づけることができるでしょうか?タレマネに成功している企業と同じタレマネのシステムを導入して、適材適所を実現することが、またし続けることができるでしょうか?
 
先に現地人管理職の声として挙げた「人材」「人材をつくる力」「組織風土」は、長い時間をかけて作られるものです。だからこそ、VRIO分析ではありませんが、強み、すなわち「他社との根本的な違い」になるのです。海外で成功している企業は、 やり方や表現は異なるものの、この強みを築き上げることを、くそ真剣にやっています。「本社役員の数名から、反対があったから」「現地駐在員や古参のローカル社員から反発があったから」といって、立ち止まってしまうことはありません。

そして、皮肉なことに、そのような地力があるが故に、最先端の人事手法も、有用性があれば取りいれ、活かすことができ、更に頑強な組織となるのです。「地力がない企業」や「地力をつけることを横に置いておいて手法から入る企業」は、 手法に振り回されて、何の変化もなく、ただコストと虚しい時間だけが積み重なっていくことになります。まず、「何を自社の地力とするか」「地力を高めるために、今日から何をするか」を考え、一歩を踏み出す企業と、そうでない企業は、その差が加速度的に広がっていきます。
 




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